2011年7月アーカイブ

今年に入ってから、ずっと走っているような感覚を持っているのですが、ここに来てようやく一息つくことが
できました。
7月25日に、東京ゆめりあホールにて、「花鳥風月コンサート〜鳥によせて」を開催させて頂きました。
幸い、アメリカに移ってから色々なアイデアを考えたり、腰を据えて練習する時間が増えましたが
これまた、幸い、5月には大きな大きなイベント、シカゴでの結婚式があり、それと平行しての準備は
喜ばしいことですが、なかなか大変なものがありました。

結果として、私たちのやりたいことを存分に出来たなぁと実感しております。本当に温かく見守ってくださるお客様
に恵まれてとても有り難く感謝しております。今年は、平日の夜開催ということで、駆けつけてお越しになられた方も
いらしたようです。お忙しい中、ご来場頂きました皆様に深く深く感謝申し上げます。

またお客様と同様に、当日の舞台進行を一生懸命手伝ってくれた洗足音大の学生のみなさんの事もぜひ
こちらにご紹介させて頂きたいです!! 実は、当日、みなさんは神奈川県にある洗足音大からレッスンを終了次第、
すぐに飛んできて、諸々の裏方作業を手伝ってくれました。邦楽器は、ご覧になられるとすぐにお分かりかと
思うのですが、セッティングがあれこれと手間がかかりまして...こうした事を、臨機応変に対応してくれる方の
助けがなければ中々演奏に集中する事が出来ません。いつも笑顔で、手伝ってくれる学生のみなさんにも
心からお礼を申し上げたいと思います!

yumeria6.JPG今回のコンサートにむけて、2人で色々と相談してきましたが、お互いの「根」の部分を大事にしよう、ということは
いつも共通しているテーマです。これからも、プログラムの中に、かならず「歌」を入れていきたいと思います。

古典作品は、長い"時"の風化に耐え、残され、受け継がれてきたものですから、それだけで作品としての「力」・
「価値」がある一線、保証されていますが、私たちはその素晴らしさを大切にしつつも、そのアドバンテージのみに
依存してはいけない、いつも何かにチャレンジしていけたら...、と願っています。

今回は、ドイツの映像作家であったロッテ・ライニガーの作品、そしてレイフ・ヴォーン・ウィリアムズによる「ひばりは
舞い上がる」のチェロと箏の編曲・演奏では試行錯誤に繰り返し、となりました。リハーサルでの写真を何枚か...。

 yumeria1.JPGこの素晴らしい映像作品とは、昨年末にシカゴにて、家族で団らんしている時に初めて観ました。
以来、その映像の美しさが頭から離れず...、また「ひばりは舞い上がる」の旋律も、もともと大好きな上に、
どこか東洋的な響きが自然に耳に馴染んで聴こえ、数ヶ月の間に、私たちの中で自然と醸造されていきました。

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映像のタイミング、音のバランス... 悩ましくも楽しい作業です。 この作品は、2つの大戦に股がって作曲された
そうです。 作曲の動機となったジョージ・メレディスの美しい詩をここにご紹介したいと思います。
なかなか決め手と思える訳がなく、色々と参考にしつつも2人で訳した部分もあります。
当日は、玉木が英詞を私が訳を、互いに朗読させて頂きました。

He rises and begins to round,      ひばりは舞い上がり 輪を描きはじめ
He drops the silver chain of sound,  銀の音色の鎖をしたたり落とす
Of many links without a break,    切れ目なく 声の輪がつらなる
in chirrup, whistle, slur and shake.  さえずり、歌声、なめらかな声、ふるえるような声

***

For singing till his heaven fills,   天を満たすまで 歌い続けるのは
'Tis love of earth that he instils,  大地の愛を伝えるため
And ever winging up and up,  そしてどこまでも羽ばたきつづける 上へ上へと
Our valley is his golden cup,   我らが谷は ひばりの黄金の杯
And he the wine which overflows  ひばりは杯から溢れ出る ぶどう酒
To lift us with him as he goes.   我らを共に 空へと引き上げる

***

Till lost on his aerial rings   ひばりが天に描いた光の輪の中に姿を消すと
In light, and then the fancy sings  幻が歌いはじめる

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こちらは、マーティン・リーガン作曲の「phoenix」。今回のために特別にアレンジしてくれました。
不死鳥の力強さ、が出したかったのですが結果は果たして?
また、コンサートのしめくくりには、委嘱初演となりました「鳥と戯れて」を...。作曲のマーティンは旅の最中に、鳥が空
(あこがれ)を求めているような美しい二重奏を書いて下さいました。また、亜露麻同様、お互いのソロも。
組歌と共に、長年あこがれていました沢井忠夫作曲の「鳥のように」も演奏しました。ご指導頂きました沢井音楽院
の石垣清美先生には深く感謝しております。

***

また一年めぐり、今度は"風"にのせて皆様に、私たちの音楽を精一杯お届けできたら、と思っております。

なお、今回の東京公演の収益の一部(52000円)は、今回の東日本大震災における義援金に充てさせて頂きました。
皆様の善意のこもったお代がより具体的に、効率よく役立てて頂くために、色々と考慮しましたところ、「こども音楽
再生基金」というプロジェクトの記事を見つけました。坂本龍一さんらが発起人となっているこの基金は、被災地に
おける幼稚園・小中高の楽器の点検、補修などに充てられるとのことです。音楽を聴く気にもなれないほどの苦しみ
を抱えていらっしゃる方も沢山おられると思いますが、それでも、やがては音楽に和みを感じ、癒されることもあるか
と思います。そうした皆様の一助になれば...と願っております。

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afteryumeria.JPG夏! なお花を、お世話になっている楽器屋さんや友人から頂きました♪ 

もうかれこれ10年ほど前になるのですが、大学を出て間もない頃、都山流の尺八奏者で友人である
松崎セイ山さんから誘われて、「あいおいの会」に入りました。まだ20代前半でしたから、メンバーも
今よりさらにピチピチ! 音大出たての元音大生ほど、アンバランスな人種はないと思うのですが、
文字通り 「同じ釜の飯を食う」といった仲間たちで、この10年間、山あり谷ありでやってまいりました。
この間に出来た思い出は数知れず...ここには書ききれない貴重なものばかりです。

当初は、なかなか舞台にかける機会の少ない古典作品やまた浚い直したい作品を、小さな和室でお互いに
発表し、聴きあうといった地道な活動を続けていました。そして、その小さな会が終われば、みんなで
頭を突き合わせ、近くのレストランでずいぶんと色んな話をしました。みんな芽を出したくて、一生懸命に
もがいている時分でした。邦楽、とくに箏・三絃・尺八は三曲スタイルの持ちつ持たれつの関係です。
20代という大切な年代に、お互いに刺激しあい、バカを言い合い、思い出を沢山たくさん作ってきた仲間達
です。こうした仲間となかなか会えなくなるのは、非常に寂しいことでしたが、日本に帰ってくるなり、また
再会し、演奏を共にすることが出来たのは本当に嬉しいことでした!!

今回、膨大な量のアレンジを担当してくださった作曲家の上田さんも、我々の和気あいあいぶりに感心して
くださいました。普通、集団になりますと、人間社会難しくなるものなんですが...、文字通り、「同じ釜の飯を
食い」、お風呂も一緒に入り、合わせも延々10時間こなし...ということを続けていますと、本当に運命共同体
のような強い絆が生まれてきます。それが、背水の陣のような、非常にハードな公演で、思わぬ力を一斉に
発揮するパワーに結びついているように思います。

素敵な仲間たちにめぐまれて、本当に幸せです。
和楽器は、「和」の楽器です。人の「和」があってこそ...と思います。

西日本ツアーでは、高野山の宿坊にも泊めて頂きました。美味しい精進料理をみんなで頂きました。
私は、今回は三味線を担当しまして、細棹と太棹、そして三線まで、なんだか三味線族を網羅してしまいました。
あいにく、私は9月半ばにアメリカに戻りますが、これから沖縄、兵庫、などでも公演が続くそうです。
いつかみんなをアメリカ公演の晴れ舞台に結びつけてあげたらなぁ...などと夢を持っています。

写真は、山田流メンバーとお土産の和三盆。

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一昨日、一年ぶりの「花鳥風月コンサート」をギャラリー&カフェ「亜露麻」さんにて開催させて頂きました。
亜露麻さんでは、NY出身の尺八演奏家Jamesさんとのコンサートから始まって、これまでに4回開催させて
頂いた事になります。毎回、とても親身で温かい雰囲気のなかで、演奏させて頂いています。

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風鈴越しの朝顔を毎日、練習部屋から見ていますと、ハート型の葉っぱが日々大きくなっていきました...

今年は「花鳥風月」のコンサートシリーズで「鳥」にあたります。
私たちが住んでいるアメリカでも、毎日のように鳥の声を聞いて過ごしています。
中でも、カーディナルという鳥は、こういうのを「迦陵頻伽の声」というのかな、
と思うような綺麗な声をしています。
天然の音楽ほど美しいものは無いと思いますが、私たちも精一杯演奏することで、様々な鳥の声、
そして、人が「鳥」に対して持つ「あこがれ」をコンサートを通じて、皆様と共感していけたら、と思っております。

今回は、友人のマーティン・リーガン氏が「Frolicking in the Wind」(鳥と戯れて)という新しい作品を書いて
くれました。和楽器ほど、書きにくい楽器はないのではないか...と思うのですが、彼は非常に優れた作曲家で
何より、楽器の性質を一生懸命学び、そして音楽を常に広い視野で捉えている姿勢に、私は感銘しています。
昨年初演しました「Flower Dances」(花が舞う)もその後、一年を通して、ずいぶんと色んなところで演奏させて
頂きました。その締めくくりはシカゴでの披露宴だったのですが、またこの新しい作品も各地で演奏していけたら
と願っています...。
亜露麻のお客様も、連作の続きをとても楽しみにして下さっていて、とても嬉しかったです!

P1020578.JPG今回演奏しました組歌の「友千鳥」は一歌めの歌詞にちなんで曲目がつけられています。同じく2人で編曲した
レイフ・ヴォーン・ウィリアムズによる「Lark Ascending」(ひばりは舞い上がる)の作曲の動機となったジョージ・
メレディスの詩を読み比べますと、どこか「鳥」に対するあこがれの気持ちが通じているように思います。
古今東西、「翼が欲しい。飛んでいきたい」という気持ちは誰しも持つものなのですね。
組歌は定まった音型の上に成り立ち、現代の作曲の観念からすると、ひねりも何も無いように感じられるかも
しれませんが、そのベースとなっている歌詞(和歌)の世界を、シンプルな奏法を適材適所に入れて作曲されて
います。

おそらく「Lark Ascending」をこの編成で編曲した人はいないと思うけれど、とっても苦しかったのですが、
その甲斐もあってか(?)、とても好評でした。この曲は、桃源郷のようなメーン州へ行くまでの道すがら聴いていた
想い出の曲なので、いつか私たちなりにアレンジできたら、と思っていました。
7月25日のゆめりあホールでは、ロッテ・ライネガーの影絵映像作品とのコラボレーションにもなるので、どんな
空間になるのか、とても楽しみです。これからも、様々なインスビレーションを形にしていけたらと願っています。
自由な発想で、自分の楽器と取り組めるのは本当に幸せなことだと思います。

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最後に、毎年楽しみにして待っていて下さるお客様に深く感謝申し上げます。来年も、またお会い出来ますのを
私たちも心から楽しみにしております。   〜どうもありがとうございました。心から...〜

ところで、今回特に嬉しかったのは、私が初めてお習いした先生にずいぶんとおひさしぶりに演奏を聴いて
頂いたことです。私は、自分から習いたいといってこの楽器を始めましたが、この先生の初めのご教授が本当に
楽しく思い出深いものでしたので、ここまで続けてきたように思います。当時は本当に楽しくて、気がついたら暗譜して
いるというくらいでした。あの頃の記憶力って一体...!?
初めてお習いした当時、先生はとてもお若く、お綺麗で、お優しくて、なによりも人情厚く一生懸命教えて下さいました。
私は邦楽界の家では無いので、色々と無知のことが多かったのですが、先生は私の気性をよく見抜いていらっしゃり
瑣末なことに煩わされずに、真っすぐに続けて行けるよう心配りしていてくださったように思います。

 「ふるさとに帰ってくる」というのはこういうことなのではないか...と思います。先生のお顔を拝見するとき、浮かぶ
のはただただ「感謝」の二文字です。

CIMG3250.JPG素敵なお花も頂戴しました。どうもありがとうございました。